[sugj-tech:7791] Re: 用語 "session setup" についての質問
TAKAHASHI Motonobu/高橋 基信
monyo @ monyo.com
2017年 7月 20日 (木) 09:12:16 JST
たかはしもとのぶです。
以下で対象としている session setup は SMB プロトコルで定義されて
いる動作の一つです。
SMB プロトコルは、元もとマイクロソフトが実装したプロトコルですので、
Samba 固有の用語ではありません。ですので、
> [質問1] あくまでSamba翻訳
> プロジェクトが対象とするドキュメント内で用いられている用語である、
> というのが前提です。
という前提は正しくありません。そのあたりは少しインターネットなどを
検索していただければわかると思います。
> SMBセッションを構築するその処理、その処理工程などを指すように感じて
> いますが正しいですか?
動作の内容としては、上記のような認識でよいと思いますが、前述したとおり
プロトコルで定義されている動作です。
一般名詞としての session の setup ではないので、何等か区別できるように
することが望ましいです。
ただ、定訳はないと思いますので、変に訳して汎用用語としての session の
setup と区別がつかなくなることは避けた方がよいと思います。
> incoming は間違っても「入ってくる」という意味ではなく「これから始まる」
> の意味であろうと解釈しています。それもこれも session setup の意味次第
> とも思っています。
ここでの incoming の意味は、SMB のセッションが別ノードから張られてきたと
いう意味です。要は、Samba サーバ起点で別ノードにセッションを張りに行ったの
ではなく、どこかのノード(一般的には Windows クライアント)から Samba
サーバに張られてきたセッションの session setup 処理ということです。
通信ですので、通信が出ていく側と入ってくる側がいるわけですが、
incoming とつけることで、入ってくる側であることを明示しています。
ですので、意味としては「入ってくる」の方が適切です。このあたりの
incoming のニュアンスは、ネットワーク系の技術文書などを読むと、
よく出てきます。
もちろんタイミング上は、これから始まる session setup では
ありますが、状況によっては、これからはじまる outbound/outgoing な
session setup もありえます。
> ---------------
> [質問3] session setup はSamba翻訳プロジェクトの対象ドキュメント内では
> 日本語訳がなされておらず、session setup をそのまま用いている箇所が
> あります。
> Samba3-Developers-Guide/unix-smb.xml
> Samba3-HOWTO/TOSHARG-ServerType.xml
> smbdotconf/logon/adduserscript.xml
>
> セッションセットアップと訳している箇所もあります。
> Samba3-HOWTO/TOSHARG-ServerType.xml
> Samba3-HOWTO/TOSHARG-IDMAP.xml
> smbdotconf/security/smbencrypt.xml
> manpages/wbinfo.1.xml
> smbdotconf/misc/resetonzerovc.xml (<== まさに質問2 のファイル)
>
> 日本語訳を行って日本語用語として定義するべきではありませんか?
> 各位の意見はいかがですか?
>
> "セッションセットアップ"と訳すのが一番早いのですが、安直であり、これで
> 意味が通じるかというと疑問を感じます。
>
> "(SMB)セッションの構築処理" と訳すと、合間に "の" が入ることで一般名詞
> であるかのように装うことが出来、用語定義とまではいかずに、さらっと
> 訳すことが出来ます。一方 "(SMB)セッション構築処理" と訳すなら、きっちりと
> した用語として定義する必要があると考えます。
前述したとおり用語ですので、べき論的には揃えるべきです。
その前提ですが、定訳がない状況で変に日本語にすると、一般名詞と区別が
つかなくなると思いますので、session setup もしくはセッション
セットアップといった形が無難だと思います。
上記でいうと、少なくとも「セッションの構築処理」というのは一般名詞に
見えてしまいますので、不適切です。
> ---------------
> [質問2] session setup は「(SMB)セッションの構築処理(過程)」と仮定した上で、
> smbdotconf/misc/resetonzerovc.xml の第一文を訳すと以下になると考えています。
> 正しいでしょうか? incoming の捉え方が正しいかどうかが最大の悩みです。
>
> 原文: (以下 This boolean option は reset on zero vc オプションのこと)
> This boolean option controls whether an incoming session setup
> should kill other connections coming from the same IP.
>
> 直訳:
> この真偽値オプションは、これから始まるセッション構築処理が、同一IPから
> やってくる別の接続を切断するかどうかを制御する。
>
> 試訳:
> この真偽値オプションは、セッション構築処理が始まる際に、同一IPからの
> 別の接続を切断するかどうかを制御する。
>
> incoming は間違っても「入ってくる」という意味ではなく「これから始まる」
> の意味であろうと解釈しています。それもこれも session setup の意味次第
> とも思っています。
>
> ちなみに現状訳は以下のとおりで、訳不適当と思っています。
> 現状訳:
> この真偽値オプションは、到着したセッションセットアップが、
> 同一の IP アドレスからの別のセッションを切断するかを制御する。
日本語としては、試訳の方が現状よりは自然だと思いますし、これでも
よいとは思いますが、incoming の訳にこだわるのであれば、前述した
通り、「入ってくる」という趣旨が前提となります。
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TAKAHASHI Motonobu/高橋 基信 <monyo @ monyo.com>
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